2006/08/27
思い付きで特設、カエルの為に鐘は鳴る−フィールド曲の
コード進行を分析してみましょうコーナーです。
色々独特な事やってて理解出来るまでタイヘンでしたので、折角だから
記録残しておこうかなー、と。こんなん需要あるかは分かりませんが…
素ではコード把握出来ない箇所ばっかしでしたので、まず原曲3声をそれぞれ
完コピしてみました。
その結果がこれ。つ
ゲームボーイ原曲版譜面
ドラムパートは略。3声はそれぞれ原曲に重ね演奏させて確認してますので、
多分録りミスはないかと。以後はこのPDFの小節番号で語ります。
前奏
主調G調(ト長調)なのは明白ですが、前奏から既にヒネられまして
コードはFから入ります。2〜3小節のF・G/F・Em7・Am7とはC調のセオリーであって、
実際この部分はC調開始から2小節で転調、とも見做せますね。
(G/F とは G on Fなるオンベースを意図してます)
4小節目、いきなり躓きます… ベースはGですがコードはG系じゃ片付かないので
恐らくオンベース。取りあえずA7/Gとしてみましたが、3度の部分が押さえられて
いない為メジャーかマイナーか不明。同小節3〜4拍のコードもD7/Cとオンベース。
この2つ、先にベースライン録ってから上に乗るコード考えて、こんなコード
重ねてくるとは普通思い付きませんよ… ついでにメロディも、ベースGのA7コード
に対してG#通って来る辺りが良い味出してます。調律はこの4小節目からG調で
確定でしょうか。
メインテーマ
Gのオンベースで引っ張った後のF#に落ちる所(10小節3〜4拍)、普通はこの流れ
だとコードはF#mかF#dimなんですが、それだとどーも2パートのD#音が納まらず。
これは恐らくB(メジャー)のオンベースかな、と。とすると次のBmと同ルート
進行ってのも面白い所。
12〜15小節、コードは文脈的にもAm7・D7・G、で間違いはないかと。し・か・し、
Am7部分では3度のC音が押さえられてなく、D7部分でも3度のF#が以下同様。
これがあまりに大胆。1パートはテーマフレーズとなる鐘のラインを貫き、
2パートは複数コードを同一ペダルポイントで被せるリフ反復。3声という
制約音源においてそれらの表現を優先し、3度要素を略してしまうという
その発想が見事。
更に個人的に注目なのが14小節目のメロで押さえるEの音。これベースGに対する
6度になる訳ですが、この6度の活用って実は難しいのデス。いえ、和声に添えたり
フレーズの通り道にするだけなら大した話ではないものの、メロディの固定箇所として
他のどの音でも代えられない6度の音、これがイイのです。作曲者とたかかずみ氏は
このセンスが秀逸でして、マリオランド2(6つの金貨)メインBGMの2小節目、
テーマフレーズD・F#・A・F#・G・EC#〜、この最後のコードEmに対する6度のC#の
響きのなんと胸に優しい事か。凄ぇ憧れまっす。
展開部
24小節目以降ですが、ここは2小節づつ上に短3度づつ転調していますね。
この短3度平行転調は割とセオリーなので知っておいて損はなし。
で、G調・Bb調・C#調と来てからの戻し方が独特。29小節目の事ですが、
ここは正直良く分かりません… 例によって3度音が略されているんですが、
まぁコードはF7でイイかな、と。調律までFにするのは違う様な気もしますが、
そこまで厳密に考える事でもありあませんし、ご容赦を。
コーダ
39小節目以降ですが、最初のAm7は問題なし。次のベースB音は2パートの
構成音から察するにG9/Bの様子。次の41小節、ここが問題。ベースはC、
じゃなくてC#!? 上に乗ってる音を素直に解釈するとC#m7-5となる訳ですが、
よー分からん(Em6/C#なのかも…?)。更に3〜4拍で上の構成音変わってるのネ…
これは、F#7/C#、なのか? そんな調子で次の42小節見ると、Bm9/DのFdimに
なる訳なんですが、最後のベースもF#じゃなくFっすか…
つー感じでG調セオリーからは完全逸脱、即ち41小節で転調してるのは間違いないの
ですが、ここはボクの理解を超えてて正直よー分かりません… そこで先に43〜44
小節を考えると、こっちはC#m7・F#m7・Bm7・E9、とここはA調確定。で、試しに
先の41〜42部分もA調にしてみたら比較的調律記号落ち着きましたので、
今回の譜面はそー扱ってます。この部分、はっきり言って全然自信なし…
最後の45〜46小節ですが、ベースが同じままに上がG#からGのEm化。ここも転調ポイント
でして、取り合えずあまり深く考えずにG調にしています。ホントは45小節のみ
D調のII-Vって気がしないでもないですが、そこまで細かく区切るのもナンですし
G調内のバリエーションと見做すのもアリかな? と。
て事でめでたく主調復帰。45冒頭の同ルート進行も独特ですね。
このコーダ部分の構成はレベル高過ぎ、とても(私如きが)素で追える物では
なかったかと。同じ転調でも、展開部の様なフレーズの切れ目できっかり変わる
明示転調とは違い、こちらはフレーズ1呼吸の中でいつの間にか変化してる暗黙転調。
仮にメロディラインだけを追ってもパっと見、転調してるとは想像付かないでしょう。
それに暗黙2度転調なんて珍し過ぎ〜…
しかも単にイタズラに特異化してるのではなく、あくまで全体の聞こえ方は至って自然、
というのもポイント(単に複雑にしたいだけならいくらでもやり様ありますから…)。
一体どれだけの引き出しがあれば、こんな押さえ方を発想
出来るのかっ!? そしてこの土台に支えられたここのメロディラインのなんと味わい深い
事か… 口ずさむだけで目頭るるっと来る。嗚呼カエルLOVE♪
おわり
これがたった3声で表現された作品、て言うのですから驚愕です。
まさしくChiptune界の神ゲー。ちなみに他にも名曲揃いデスヨ?
あと最後、折角ですので(珍しく頼まれてもないのに)私の
ピアノアレンジ譜面
も置いておきますネ。(2012/10/09 楽譜更新)